

理科教員 / 教務副部長 教科主任
大橋 淳一郎
ご自身も暁星の卒業生で、2005年から教員として母校に着任された。理科を担当し、「学校での学びは楽しくあるべきだ」を信念にフィールドワークや探求講習などを積極的に企画。暁星の理科教育の特徴や教員として大切にしていることについてお話を伺いました。
「学校での学びは楽しくあるべきだ」と語る
暁星ならではの理科教育の特徴や強みについて教えてください。
大橋先生
詰め込み型のアプローチではなく、生徒の自主性や興味・関心を大切にしながら授業を組み立てているのが、暁星の理科教育の特徴の一つだと思います。
ただ、興味・関心だけに寄りかかるのではなく、物事を考えるうえで前提となる知識をきちんと身につけることも欠かせません。
どちらか一方に偏るのではなく、両方をバランスよく育てながら、少しずつ科学的な見方・考え方を身につけてほしい、そんな思いで授業やカリキュラムを設計しています。
若い先生方も増えてきていて、生徒の多様な要望に応えられる体制が整ってきたと感じています。
生徒の関心なり興味を引き出すということですが、どのような工夫をされていらっしゃいますか。
大橋先生
例えば生物なら、病気や自分の身体、身の回りの環境といった身近なテーマにまず目を向けさせて、そこから授業で扱う知識につなげるようにしています。そうすることで、生徒の「見る力」や「気づき」を育てられると思っています。
教科書の中だけが理科ではなく、理科の題材は身の回りにいくらでもあります。そこに気づけるようになると、「理科って面白いんだ」と実感できるはずなので、その点は特に意識して伝えています。
私自身、「学ぶことは本来楽しいものだ」と思っていますし、学校での学びも楽しくあるべきだと考えています。だからこそ、さまざまな気づきの楽しさを感じられる環境を用意したいと思っています。
いろんなアプローチをお考えになって、それを教育現場で実践されていると伺っています。
大橋先生
理科以外の教員とも協力して、教科横断型のフィールドワークの取り組みを続けています。先日も、社会科の教員と合同で皇居周辺のフィールドワークに行ってきました。
東京駅の壁面にはアンモナイトなどの化石が含まれていて、それを手がかりに地球生命の進化に触れることができます。
社会科の教員が皇居の歴史的背景を説明しつつ、石垣を観察しながら「これが築かれた時代の権力構造はどうだったのか」といった視点にも話を広げました。楽しみながら、いろいろなところに興味をもってもらえる時間になったと思います。
皇居の本丸中之門石垣の修復時に交換した石材(瀬戸内産の花崗岩)を観察
今年度からは、「研究者はどんな人で、何をしているのか」を少しでも多くの生徒に感じてもらいたくて、大学などの研究室を訪問する取り組みを始めました。また、研究に興味がある生徒が探究活動に取り組むことができるように、理科の教員が協力して「場」を用意する取り組みも始めています。
色々な世界を見ることができ、かつ、好きなことに打ち込める環境の中で、自分の価値観を磨き、理想の進路を実現してほしいと願っています。
大橋先生が力を入れて取り組んでいることはどんなことですか。
大橋先生
本校は学年毎に4クラスあって、理科では、2クラスをある教員が、残りの2クラスを別の教員が担当するということがあります。教育はどうしても属人的になりがちで、担当教員によって別の授業を行っているということが起こり得ます。
そういうことが少なくなるように、自分だけではなく、もう一人の教員と内容についての話し合いを重ね、より良い授業の「設計図」を作って、チームとして授業をしていくというところに力を入れています。
ここ2・3年でようやく形になってきていて、そこには大きなやりがいを感じています。
暁星の生徒だった頃の自分に、教師という立場で言葉をかけるとしたら、どんな言葉をかけますか。
大橋先生
あの頃の自分は、視野がすごく狭かったなと思います。今の中高生を見ていると、価値観も私たちの時代とは違いますし、「学校の外にも大きな世界が広がっている」「世界はいろいろあって多様なんだ」という感覚を、むしろ今の生徒たちのほうが持っていると感じます。
だから当時の自分には、「もう少し肩の力を抜いて、もっといろいろなものを見ておいで」と声をかけたいですね。広い世界に触れながら、自分の理解や視野を少しずつ広げていけばよかったのに、と思います。
身の回りにある「理科」を意識して授業を実施している
今のお話に、先ほどの暁星の理科教育の方針と大橋先生が教員として実践されていることの2つの軸が全部集約されている気がします。ありがとうございました。

