

暁星サッカー部OB
藤田賢仁
暁星中学校・高等学校を2026年3月に卒業し、慶應義塾大学へ進学。現在は慶應義塾体育会ソッカー部へ所属し、勉強と部活動に励んでいる。
現役時代は強豪ひしめくリーグを戦い抜き、引退後は慶應義塾体育会ソッカー部へ進んだ藤田賢仁さん。有数の進学校でありながら、全国レベルのサッカー部を擁する暁星中学・高校で過ごした6年間は、彼にとってどんな意味を持つのか。暁星の魅力を語ってもらった。
暁星での経験を振り返り、6年間で磨いた「本物の強さ」について語る
まず、なぜ暁星中学校へ入学しようと決意したのか教えてください。
藤田さん
一番の理由は、レベルの高い環境でサッカーがしたかったからです。暁星はサッカーの強豪校であると同時に、のびのびとした雰囲気がありながらも進学校としてもしっかり勉強する校風があります。「文武両道」を目指してほしいという両親の願いもありましたし、自分自身も他の部活を含めて活発に活動している雰囲気に惹かれました。
また、親族にカトリック信者が多いという縁もありました。受験相談会で会った先輩方の爽やかな雰囲気や、人工芝のグラウンドも大きな決め手になりましたね。
サッカーを始めた当初から6年間を振り返って、特に印象に残っているエピソードはありますか?
藤田さん
高校3年生の1年間が最も濃い時間でした。自分たちの代は、最初はなかなか結果が出ず、監督の吉田先生からも厳しく指導される日々で、正直「選手権予選で一回も勝てないんじゃないか」という不安なスタートでした。夏のインターハイでも悔しい負け方をし、全員が呆然とした時期もありました。しかし、夏の合宿を経てチームが団結し、最後の選手権予選では勝ちを重ねることができました。強豪相手に接戦を演じられたことは大きな自信になりました。
また、高校1年生の時に出場した「関東ルーキーリーグ」も忘れられません。これは強豪校の1年生だけが集まるリーグなのですが、周囲は全国大会に出場するようなレベルの高い学校ばかりでした。自分たちはそこまでのレベルにはないと思い知らされる日々で、最終節まで一勝もできず、大敗を喫することもありました。
しかし、「最後くらいは絶対に勝とう」と、全員が120%の力を振り絞って試合に臨んだんです。その結果、サッカーの名門校に勝利することができた。自分たちの力を出し切って掴んだあの白星は、本当に嬉しかったです。
現役時代は、どのようなことを意識していましたか。
藤田さん
ポジションとしてはセンターバックだったので、まずは「ゴールを絶対に割らせない」という強い意志を持って臨んでいました。一時期スタメンを外れた際、監督から「ゴール前で『俺がいるぞ』という存在感を出さなければいけない」と言われ、それを常に意識するようになりました。また、自分の学年は人数が少なかったため、スタメンの半分を占めていた後輩たちが伸び伸びとプレーできるよう、声掛けなどのカバーも大切にしていました。
後輩一人ひとりに目を向けて声を掛けている
藤田さんが考える、暁星サッカー部の魅力とは何でしょうか。
藤田さん
指導体制の充実ぶりです。監督だけでなく、メンタルトレーナーや筋トレを指導するフィジカルコーチなど、部門別の専門スタッフから的確なアドバイスをもらえる環境があります。また、先生方の繋がりが非常に強く、全国屈指の強豪校と練習試合ができるのも、暁星ならではの魅力だと思います。
もう一つは、中高一貫のメリットです。中学生が高校生の練習を間近で見ることができるので、「数年後の自分」を具体的にイメージしやすいんです。私自身も中学生の頃は高校生の先輩たちに憧れていました。上下関係も無駄に厳しくなく、学年を越えて信頼関係が築かれており下の学年が伸び伸びとプレーできる文化が代々受け継がれています。
進学校での部活動ということで、勉強との両立で工夫していたことはありますか。
藤田さん
限られた時間をいかに「密度濃く」使うかを考えていました。私は通学に1時間以上かかったので、やるべきことをルーズリーフに書き出し、通学中の電車内でチェックしたり、寝る前の時間を活用したりして、マネジメントを徹底していました。
また、暁星は環境面でも非常に恵まれています。同じレベルの強豪校だと、放課後に長時間かけて外部のグラウンドへ移動しなければならないケースも多く、物理的に勉強の時間が確保できないという話も聞きます。しかし、暁星は校内に充実した練習環境があるため、移動による時間のロスがありません。
伝統的に練習自体も「短時間集中」で行うスタイルなので、練習が終わればすぐに塾へ向かうこともできます。試合のない休日の練習も午前中に終わることが多く、午後はまるごと勉強に充てられるなど、文武両道を目指す上でこれ以上ない環境が整っていると思います。
テスト期間や合宿中などは、どのように勉強時間を捻出していたのでしょうか。
藤田さん
合宿のときなどは、生徒たちが自発的に「勉強したい人のための部屋」を作っていました。周りの子が寝ていても、勉強したい人はその部屋で夜遅くまで集中して取り組む。そんな風に、お互いの状況を尊重し合える雰囲気があります。先輩たちが試合会場や合宿所で必死に勉強している姿を見てきたので、「自分も当然それくらいはやらなきゃいけない」という意識が自然と芽生えました。
監督やコーチからのアドバイスを真摯に受け取る部員たち
6年間を通して学び、これからも大切にしていきたいことはありますか。
藤田さん
「当たり前のことを当たり前にやる」ことです。パス一本の質に徹底的にこだわる。そうした日々の積み重ねがなければ、格上のチームには勝てないという教えを大切にしていきたいです。
また、「一つの目標に向かって突き進む」ことの尊さも学びました。最初は弱かった自分たちの代が、試行錯誤を経て、高校最後の1年間で見違えるように強くなった。この成功体験は、これから先、何か壁にぶつかったときも「可能性は常にある」という自信に繋がると思っています。
最後に、後輩たちへのメッセージや、これから期待することを教えてください。
藤田さん
勉強を理由にサッカーを諦めないでほしいです。実際にサッカーを続けながら医学部に合格した仲間もいますし、部活を辞めても、持て余した時間をうまく活用できず成績が上がらないという可能性もあります。最後までやり抜く雰囲気を、これからも守っていってほしいですね。
暁星は、個性が強い多様な人たちと出会える場所です。ここで培った人間関係や、切磋琢磨した経験を大切にして、これからも多くの人と関わり学び続けていきたいと思っています。
「当たり前のことを当たり前にやる」と日々練習を積み重ねている
