2024.09.13 生徒を知る

「トビタテ!留学JAPAN」での経験を通じて(高3)

「トビタテ!留学JAPAN」での経験を通じて(高3)

昨年の夏、私は文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」プログラムを利用してインドに留学しました。留学に際して、現理事長である神父様にインドのマリア会の修道院をご紹介いただきました。

・留学のハードルを自分で上げる必要はない
留学に対して、私は当初、「留学する人は最初から英語ができる」「お金持ち」「意識が高い」といったイメージを持っていました。そのため、その条件に自分は当てはまらないから無理だろう、と考えていました。しかし、実際に留学を経験した今では、行きたいと思えばけっこう誰でも行けるのだと感じています。留学のハードルは、実はそんなに高くないのです。奨学金制度には意外といろいろなものがありますし、コミュニケーションに必要な英単語の数はそんなに多くありません。それよりなにより、留学生活の中で学べること、その過程で努力を重ねることでできるようになることがたくさんあります。この経験は本当に貴重です。

・奨学金について
経済面で私の留学を可能にしたのは奨学金です。このような可能性があることをより広く知ってもらえるよう、留学後には「トビタテ!留学JAPAN」の広報活動にも協力しました。文部科学省で行われた次期募集説明会でお話をしたり、公式noteに寄稿したり、短いですが年次報告書のために文章を書いたりしました。これらもまた、留学を見直すよい機会でした。

・留学のテーマ
私は「教育を通して貧困を解決する方法を考える」というテーマで留学しました。そこでまず学んだのは、子どもが教育を受けるという私たちにとっては当たり前のことが、インドの貧困地域では全く当たり前ではないということです。その背後ではさまざまなレベルの問題が複雑に絡み合っていることもわかりました。

・インドの貧困の問題について
留学してみてわかったのは、貧困問題を解決するためには、現地のニーズに合わせた継続的な支援を行うことが必要だということです。加えて日本国内でも社会の課題について考え、行動する人を増やすことが重要だと思いました。教育格差を生む大きな要因のひとつである「子どもが働かなければならない状況」を生み出しているのは地域や民族、男女間の社会的・経済的な格差ですが、これはインドの場合、伝統的な身分制度の考え方とも深く関係しています。このような問題に対しては、国際社会が関心を持ち、遠い世界の話ではなく自分たちとも関係する問題として捉え、できることを模索してゆくことが、変化を促す第一歩になるかもしれないと感じたからです。

・日本でのこれまでの活動と将来の展望
教育は将来の可能性を大きく広げます。私はこれまで日本で、さまざまな事情から学校に通わない、通えない子どもたちを対象としたボランティア活動に参加してきました。さらに、昨年のインド留学を通して、そこではまず教育の重要性を伝え、理解してもらう必要があることを実感しました。学ぶ機会を提供することが大切であるのは言うまでもありませんが、同時に、学びたいと思ってもらえる環境づくりも必要だと思います。
私は将来、社会科の教員になりたいと考えています。そしてインドで見たこと、経験したことを基に、日本の学校で未来を担う子どもたち、また今日本で問題を抱えている人々に今後も向き合っていこうと思います。社会科の教員としては、まず世界には深刻な貧困問題があることを知ってもらい、人権、とくに子どもの権利を守る必要性と、そのためにできることを一緒に考えていきたいです。そしてその状況を変えるために行動しようと思う仲間を増やしたいと考えています。

・暁星での学びと留学
暁星学園で学んだ「隣人愛」の教えは、他者への無私の愛と奉仕の精神を重んじるものと私は理解しており、この精神が貧困問題に向き合いたいという私の希望を支えています。留学先では修道院に滞在させていただき、この教えを実践する神父様たちの活動を間近で見ることができました。神父様たちは、貧しい家庭出身の子どもたちや、家庭に問題を抱える子どもたちに対する学習支援をはじめ、地域の人々が安心して生活できるよう、さまざまな面で尽力されていました。

・留学先で経験したこと・感じたこと
現地では私もその活動に参加し、学校で子どもたちに学習支援を行ったり、学用品が足りない子どもたちに必要な道具を配布したりして、彼らが勉強に集中できる環境を整える手伝いをしました。また、食事の提供の手伝いや、チャイルドケア、家庭訪問への同行など、子どもたちとその家族が日々の生活を安心して送るための支援を体験しました。こうした活動を通じて、私たちにとって当たり前のことが、彼らにとっては当たり前ではないことを実感し、自分が恵まれた環境で育ってきたことにあらためて気づくとともに、支援を必要としている人々がたくさんいることと、彼らが支援を受けられることの重要性を認識しました。

・失敗談
インド国内を移動しているときに一度、飛行機に乗り遅れました。理由は、インドでは手荷物として機内に持ち込むことが禁じられている香辛料を数キロ持っていたからです。空港の職員と英語で話し合いをしている間に飛行機は出発してしまいました。しかし現地の神父様の協力と、窮地に立たされて覚醒した英語の潜在能力(?)のおかげで、次の飛行機に無事、乗ることができました。

・先生方への感謝
私の留学が多くの方々のサポートを得て実現したことは確かです。特に暁星学園では、「やりたい」と言えば協力してくださる先生が多くいらっしゃいます。私の留学は「こんな活動を海外でしたい」と宗教の先生に相談したことから始まりました。奨学金申請のための書類添削や面接練習も多くの先生方が手伝ってくださいました。また、留学中には部活動の先生のご協力のおかげで、現地と学校をteamsでつないでリアルタイムで活動を伝えることができました。帰国後には、エトワール祭でのポスター発表、附属小学校での授業、学内の全校放送でのお話、研究紀要の執筆など、様々な機会を与えていただきました。それらは私自身が留学中の経験を振り返るという意味でも、その経験をほかの人に伝えてインドに関心を持ってもらうという意味でも、とても貴重なものだったと思います。留学を通じて、私は社会貢献や奉仕の精神を持ち、今後もできることをしていきたいといっそう強く感じるようになりました。帰国後に理事長である神父様や校長先生(神父)がご協力くださった結果、教育活動のためにインドに寄付をすることができたことを、とても嬉しく思っています。(高3 R.S)

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